髪が薄い。もうほとんどハゲである。で、それを話のネタにしてもらえて、嬉しいこともある。矛盾をしているようだけれど、自分がハゲていることを忘れさせてくれるような、センスのあるハゲのからかいかたをしてくる人もいるのだ。ハゲの大海原には、まだ見ぬ笑いのタネがたくさん眠っていると、つくづく感じる。他人より早く船を沖に出せたのだから、二十代でハゲてよかったのである。
ただ、真面目な顔をして「髪の毛大丈夫?」と言ってくる人もいる。そんなときに、「心配してくれてありがとう」とこちらも真面目に返すか、(ボケてるのかしら?)と慮ってユーモラスな回答を返すか、「うるせえ」と怒鳴って突きとばすか、これはもうぼくの判断でいいと思っています。ハゲをストレートに心配するまぬけと、すぐにカッとなって相手を突きとばすハゲという構図も、引きで見るとなかなか面白いのではないでしょうか。