日本の文学史的に、志賀直哉のテーマは「父との不和」「父との和解」だそうです。それと直接は関係ないですけど、今の時代って、父の存在感が希薄になった気がします。ひと昔前だったら、「父が怖い」っていうのは「しつけに厳しい」「無口で厳格」みたいな感じだったけれど、いまは「家庭内で暴力を振るう」「子供を虐待する」みたいな、まじで笑えない「父が怖い」になっちゃってますね。ちなみに「父が消えた」という尾辻克彦さんの短編小説は、戦後の「父の不在」を象徴するような作品です。ぜひ読んでみてくださいませ。
二月十一日(月)