生きていると、体調のいいときと、悪いときがある。自分の体調がいいときには、体調が悪い人たちのことは、目に入らない。自分の体調が悪くなってはじめて、世の中には体調の悪い人がたくさんいるのだなあ、と気づくことすらある。
辛い経験をしたことがある人間は、他人にも優しくなれる。これはほんとうだと思う。だからといって、他人に優しくなれるからという理由で、辛い経験を喜んで受け入れる人はいないだろう。そういうひとたちは、むしろ「なんで自分だけ辛い思いをしなければならないんだ」と考えてしまう、その一方で、ほとんど無意識のうちに、他人に優しくなってしまうのではないか。矛盾しているようだけれど、それが世の中の救いでもあるような気がします。