九月二十一日(木)

玄関の松ぼっくりをしめらせて腐るのを待つような青春

ぼくの出身である福岡市に、「大濠公園」という公園があります。毎年夏に花火大会が実施されていたのですが、2018年の開催を最後に終了したというニュースを耳にしました。

青春の一ページが失われるような気持ちになったのですが、よく考えてみれば、毎年風に乗って流れてくる花火の音は聞こえていたものの、実際に誰かと行ったことはないのです。すごく小さなころ、両親に連れて行ってもらったことはあるかもしれないけれど、好きな人と浴衣を着て出かけて、というような甘酸っぱい記憶はない。いや、正確には、記憶はあります。ただ、これはたぶん妄想なんですね。高橋くんと高島さんと、田崎さんとぼくの四人で、テトラポットに囲まれた防波堤みたいなところに立っている。まわりにはほとんど人がいなくて、でも花火はすごく目の前で打ち上げられている。そんなことは、ありえないのです。大濠の花火大会にはものすごい数の人が集まりますし、そもそも海じゃないんですね。

でも、青春というのは、そうやって妄想と記憶が入り混じった状態で頭のなかに残っていて、それでいいのではないかとも、思いますです。

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